フラットな組織構造の重要性

Here Webの話の中で、Bill Joyがフラットな組織の重要性について話をしている。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20087986,00.htm

Joyは、ベンチャーキャピタルの世界への転身について、「Kleinerの仕事は楽しい。こちらの方が近代的な組織だ。Sunにはヒエラルキーがはっきりとあった。それに対し、Kleinerはとてもフラットな組織だ。みんなが同僚だ」と語った。

 Joyは、技術分野にとどまらず、融通の利かない階層を無くしたベンチャー事業が最も大きな成功を収めるだろう、と考えている。同氏は、その例として予測が非常に難しいPC業界を挙げた。

 「オープンソースの世界がお手本になる。Compaqのディーラー網がDellの直販モデルに対抗できなかったように、階層のある組織は新しい企業ほど素早い対応がとれない」(Joy)

「階層のある組織がフラットな組織より素早く対応ができない」というのは、自分も大企業にいるのでよくわかる。階層型企業では、情報の共有方法において大きな問題がある。大きく分けて三つの問題が存在する。

  • 情報伝達のコストが高い
    • 複数のノードを仲介するために情報伝達のコストが高くなる
  • 正しく情報が伝わらない
    • 情報がフィルタリングされ悪い情報が伝わらない
    • よい情報は、よりよく加工され上にあがる
  • 階層内での情報共有しかできない
    • 階層構造の中でしか利益が発生しないため、情報が階層構造の中でしか伝播せず、他の階層との情報共有が困難である

フラットな組織構造では、これらの問題が発生しない。それゆえに、フラットな組織構造を保ち、フラットなノード群が全体で情報が共有できる仕組みを構築できれば、その企業のスピードは圧倒的なものになる。だから、開発コスト以外が無視できるほど小さいソフトウェアの世界では、大企業とベンチャー企業の力関係が逆転することも、これから頻繁におこるだろう。

大企業とベンチャーという対比で書いたが、大きな企業でもフラットな構造を保ち成功している企業もある。それがGoogleだ。Googleでは、エンジニアには階層がなく、フラットな構造になっている。それゆえに人数が増えても今のようなスピードを維持できるのだろう。

Google」や「はてな」のようなフラットな組織構造は、これからのソフトウェアの開発企業に大きな影響を与えていくことは間違いないだろう。